5台の望遠鏡の内の1台の焦点面には、これまでのX線検出器に比べて、一桁も波長分解能の高い、高分解能X線分光器が搭載されます。この検出器の原理は、絶対温度約0.06度の極低温に素子を冷し、X線入射に伴う素子の微弱な温度の上昇から入射X線のエネルギーを極めて精度良く決めるものです。このような検出器が衛星に搭載されるのは、はじめてです。動作に必要な極低温を軌道上で実現するため、宇宙で動作する、断熱消磁型冷凍機、液体ヘリウム容器(絶対温度1.2 度)、固体ネオン容器(絶対温度17 度)の3段階の冷却システムが新たに開発されました。観測は、0.5 キロ電子ボルトから12キロ電子ボルトの範囲で行われます。 XRSではこれらの寒剤の消費のため、観測期間は打ち上げ後、約3年間と予想されます。
担当:JAXA宇宙科学研究本部、NASA Goddard 研究所、東京都立大学、ウィスコンシン大学、理化学研究所
(注) 2005年8月8日、XRSで使用している液体ヘリウムが消失するという不具合が発生し、XRSによる観測は不可能になりました(JAXAプレスリリース)。原因については現在、JAXAとNASAの不具合調査委員会にて調査中です。
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